ニーズに合わせてカスタムケーブルを作ります
導体となる芯線の生成には、大きく分けて2通りあります。
1つは、銅などの金属のインゴット(塊)からダイスを使って、必要な直径になるまで細く伸ばして作る「単線(solid conductor)」。もう1つは、単線を撚り合わせて折り曲げや断線に強くする「撚線(stranded conductor)」です。当社が製造する芯線のほとんどは撚線になります。
撚線の断面積をAWGで表すことで、芯線の大きさを分類しています。
たとえば、「AWG26」(外径0.468mm)の撚線を作る場合、単線を7本使って撚り合わせようと、19本使って撚り合わせようと、70本使って撚り合わせようと、断面積がAMG26の大きさであれば、「AWG26番線」と呼びます。
線数を多くすればするほど単線は細くしなければなりませんが、屈曲に強くなるという利点があります。
撚線数をお客様の要望に合わせ、オリジナルのケーブルをカスタムメイドできることが当社製品の特徴となります。
先ほどの70本撚り合わせた「AWG26番線」は屈曲に大きな耐久性を示すため、自動車・半導体工場などで装備されている「ロボットケーブル」として使われています。
芯線ができれば、その周りに絶縁体を被せる「押出成型」という加工を行います。絶縁体は絶縁材料の材質と厚さの違いから、絶縁抵抗、耐電圧、耐熱性などの特性が決まります。また、絶縁体と導体の断面積との組み合わせで許容電流が決まります。
絶縁体の材料には、PFAやPVC、ポリエチレンなど*の熱可塑性の合成樹脂を使います。成型の工程では、「押出機」や「圧着機」という装置を使って、合成樹脂を芯線に被せると「絶縁電線」が出来上がります。
その絶縁電線をさらに複数本撚り合わせて、シールドをして、再度押出成型を行うと(ジャケットを被せると)、いろいろな多芯ケーブルを作ることができます。
当社が使用する主な絶縁材料
PFA(パーフルオロアルコキシ) | 四ふっ化エチレンペルフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体。幅広い温度範囲(-190℃~+260℃)を有しており、機能性に優れた絶縁体、ジャケット材料として使用される。また、耐薬品性、電気的・機械的特性にも優れている。 |
ETFE(エチレン・テトラフロロエチレン) | 四ふっ化エチレン・エチレン共重合体。-100℃~+150℃の温度範囲を有し、PFAと同等の特性を持つ。 |
PVC(ポリ塩化ビニル) | 耐電圧特性が良く加工が容易。ローコストなのに難燃性があり、水、油、磨耗にも強いというところから、一般的なケーブルで広く用いられている。 |
PP(ポリプロピレン) | 誘電率や誘電体損失が小さく、優れた電気特性を持つ。耐摩耗性と耐熱性に優れている。 |
PE(ポリエチレン) | 誘電率や誘電体損失が小さく、優れた電気特性を持つ。耐水性に優れ、化学的に不活性という特徴を持つ。 |
PU(ポリウレタン) | 物理特性と耐摩耗性に優れた特性を持つ。 |